給料・給与の差押さえの解説

民事執行法に基づく債務者の給料・給与の差押さえの規定、差押さえ金額に対する見解を解説

◆給料・給与の差押さえの解説

 給料・給与の差押さえは、「民事執行法に基づく範囲内」において一定額の差押さえが認められております。

 また給料・給与の差押さえは、債務者の生存に必要な部分に関しては原則、「差押禁止財産」という名目において債務者の保護が講じられております。

 尚、サラリーマンや会社員などが会社から支給される給料・給与と経理上異なる扱いとなる「役員報酬」に関しては異なる見解となるので注意が必要です。

 当サイトが給料・給与の差押さえについてお調べの方のご参考になれば幸いです。

◆差し押さえの定義・民事手続きについて

 差し押さえとは基本的に、債権者の訴訟によって国家の執行機関である執行裁判所や執行官が債務者の財産や権利、特定の有体物について法律上の処分を禁止し確保することを指しております。

  この差し押さえには主に「民事」・「刑事」の差し押さえがあり、一般的に「給料」「不動産」などの差し押さえは民事手続きによる差し押さえである点がポイントとなります。

 民事において債権者は、確定判決などの債務名義と執行文の付与を受けて差し押さえを判定する執行機関に執行の申し立て手続きを行う事によって差押さえが執行される事となります。

◆給料の差押禁止額の規定について

 給料の差押さえの執行に関しては民事執行法に基づき、「差押禁止額」が設定されております。

 差し押さえ禁止額の規定については以下の通りです。

【差押禁止額の規定】
@手取り給与の4分の3
A33万円
※以上2点のうち少ない方

 実際の差し押さえの執行に関しては「民事執行法」で定める差押禁止額以外の範囲…⇒続きを見る

◆給料が差押さえされるケースについて

 差押さえとは、債権者の権利を保護するために、国家が債務者に対して「不動産」「動産」「債権」などの財産を私的に処分することを禁止する法的行為のことです。

 例えば不動産を例に確認してみるとしましょう。

 個人が融資を受ける場合に不動産物件などを担保として資金を借入するケースがあります。

 代表的な融資としては住宅ローンなどが該当します。

 この場合、債務者が「債務不履行」に至った場合、債権者は不動産担保から債務を回収することが可能となります。

 逆に言えば十分な担保価値があると見込むから資金を提供する訳です。

 しかし、債務者が勝手に担保としていた不動産を処分し、回収が不可能となり、更に目ぼしい財産がないと判断される場合はどうなるでしょう。

 このような場合、債権者は目ぼしい財産がない以上、これから債務者が得ると想定される収入である給料の差押さえの執行をせざる終えない状況となってしまいます。

 実際に給与の差押さえが執行されるケースの大半はこのようなケースであるのが実態…⇒続きを見る

◆差押禁止財産の種類について

 給料・給与の差押さえに関しては、前項で解説してきた通り法的に可能な債務回収方法であることは間違いありません。

 しかし、民事執行法では幾つかの個人財産について「差押禁止財産」を設定している事も覚えておくことが大切です。

 この差押禁止財産として認められているものには以下のような財産があります。

【差し押さえが禁止されている財産】
●年金
●恩給
●失業保険などの手当て

 これらの財産に関しては、民事執行法による手続きを踏まえても差押さえを執行することは出来ません。

 尚、退職時の「退職手当」に関しては給料同様「4分の3を除く部分」に関しては差押さえが可能となっております。

 また、役員報酬に関しては、「報酬全額」に対して差押さえが認められている点…⇒続きを見る

◆給料の差押が出来ないケースについて

 給料・給与の差押さえに関しては、民事執行法に基づいて国家的に認められた法的手続きであることはここまで解説してきた通りです。

 しかし、債務者の状況によっては給料の差押さえが出来ないケースもあります。

 実際に給料の差押さえが出来ないケースとしては以下の通りです。

【給料の差押が出来ないケース】
★債務者の自己破産手続きの開始決定がおりた場合
★個人版民事再生の再生手続き開始決定がおりた場合

 以上のように既に開始決定が下されているケースの場合、債権者は仮に訴訟を起こしても給与の差押さえを…⇒続きを見る

◆給料の差押えが執行されるまでの民事手続き

 債権者が、債務者の給料・給与の差押さえを執行するには「民事執行法」に基づき、幾つかの手続きを踏まえる必要があります。

 まず債権者は給与の差押さえを行う為に「裁判所」「訴訟」を起こす必要があります。

 そして、その訴訟裁判において「勝訴」の宣告を受けてからはじめて「債権差押命令の発行」を裁判所に依頼し、令を発してもらう必要があります。

 この「債権差押命令」が裁判所から発せられるまでは、債権者は債務者に対して差押さえの執行…⇒続きを見る

◆給料の差押え可能額の算出方法

 債権者が、債務者の給料・給与の差押さする場合「差押禁止額」を超えない範囲内で差押さえをする必要があります。

 では、ここで改めて差押禁止額の規定を再確認してみましょう。

【差押禁止額の規定】
@手取り給与の4分の3
A33万円
※以上2点のうち少ない方

 では、例えばわかりやすく「給与の手取り額が20万円」の場合で計算してみましょう。

 給与の差押禁止額の規定では「手取り給与の4分の3」となっているためパーセンテージでは75%です。

 計算式は以下の通りです。

200,000円×75%=150,000円

 以上の計算から差押禁止額の規定によって保護される範囲は15万円となることがわかります。

 ですから実際に差押さえの執行が可能となる金額は以下の通りです。

200,000円−150,000円=50,000円

 このように、給料の差押え可能額の算出は簡単な計算で算出することが可能です。

給与差押の計算ポイント【画像】

◆手取り額44万円が差押え可能額の分岐点

 差押禁止額の規定を元に前述した計算を行っていくと、前項の「A33万円」となるのは44万円となります。

 ですから、手取り額44万円が保護範囲上限の分岐点となる事がわかります。

 計算式は以下の通りです。

440,000円×75%=330,000円

 この事から手取り給与額が44万円を超える場合は、手取り額から33万円を差し引いた金額が差押さえの対象額となると覚えておくと簡単です。

給与差押え禁止額の上限額【画像】

 ではここでは解りやすいように簡単な事例で見てみましょう。

 例えば給与の手取り額が100万円の「会社員A氏」の場合は以下のような計算となります。

1,000,000円×75%=750,000円

 この計算式だけ見ると「会社員A氏」の給与の75万円は差押えの保護範囲となります。

 しかし、もうひとつの条件である「A33万円」よりも大きな額となるため、この「会社員A氏」の給与が保護される範囲は33万円までとなります。

 ですから給与の差押え可能額の算出をする場合は、手取り額が44万円を超える場合、単純に手取り額から33万円を差し引いた金額で算出することができるのです。

 今回の事例のケースではシンプルに

1,000,000円−330,000円=640,000円

 となり、「会社員A氏」の給料の差押え可能額は…⇒続きを見る


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