偏平足とは、足裏の土踏まず部分に形成されている「正常な縦アーチ」が何らかの原因によって失われてしまう事によって発症する足裏の障害です。
日本人は偏平足症状を抱えている方が諸外国と比較すると大変多く見られます。
尚、偏平足が即私生活に大きな支障をきたす事はまずありません。
しかし、偏平足症状を発症すると地面からの衝撃吸収能力が極端に低下する為、他の関節への負担が大きくなる点を把握しておく必要があります。
偏平足は、足裏の正常な縦アーチが何らかの原因によって失われてしまう足裏の障害です。
偏平足の足裏は、本来持っている地面からの衝撃吸収能力が極端に低下しております。
その為、偏平足になると様々な足に関わる合併症を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
当サイトが偏平足についてお調べの方のご参考になれば幸いです。
偏平足は足裏のアーチが潰れてしまう足裏の障害です。
この偏平足になる原因には、様々な諸説があり、明確な原因を見極めるのは困難であるのが現状です。
しかし、医学的な見解から原因を分析する際、その原因の分類方法として「先天性偏平足(せんてんせいへんぺいそく)」と「後天性偏平足(こうてんせいへんぺいそく)」の2種類の偏平足症状に大別する事が出来ます。
偏平足の原因を医学的に分類した場合、前項で解説したとおり「先天性偏平足」・「後天性偏平足」の2つの発症原因が考えられます。
先天性偏平足とは、乳幼児から少年期にかけて足裏のアーチが形成される時期において何らかの障害があり、「正常な足裏のアーチ」が形成されなかった事が原因として考えられる場合の偏平足です。
そして後天性偏平足とは、成人など足裏アーチが完成された後に、「外的要因」などにより足裏のアーチが潰れてしまうなどの原因によって発生した偏平足を表します。
偏平足自体の症状は同様の症状ではありますが、この原因から治療法なども異なってくるので、偏平足障害では、その起因を把握する事も重要となります。
先天性偏平足とは、足裏のアーチが形成される乳幼児期から幼少期にかけての成長過程において
●骨格の異常
●発育不全
●機能障害
などが原因となって発症する偏平足症状を指します。
ですから、先天性偏平足に関しては「先天性=生まれつきの障害」という解釈ではなく、生後から始まる最初の骨格の形成期における問題が要因となり偏平足となると捉える必要があります。
人間の赤ちゃんの足は、誰もが土踏まずのない偏平足です。
足の裏はぷよぷよと柔らかく、見た目もまさしく平らになっております。
しかし、赤ちゃんの発育・成長に伴って、足の各筋肉が発達するにつれて、土踏まずは徐々に持ち上げれ、足裏のアーチを形成するようになります。
このアーチの形成される時期に、十分な運動がなされていなかったり、筋肉の成長を妨げる関節の機能障害などがあると、このアーチは正常に形成されなくなってしまいます。
このような経緯で偏平足をもたらした場合に、先天性偏平足の可能性が考えられるのです。
先天性偏平足の可能性が考えられる子供の特徴として
●足の筋力不足
●バランス感覚・運動能力の不足
●平坦地での転倒
などの症状をおこす子供が多く見られます。
足裏のアーチは運動時などに必要とされるバランスの維持にも関与しております。
その為、幼少時に適切なアーチ構造が形成されなかった子供は、バランス感覚が弱く転倒が多くなるのです。
また、先天性偏平足の子供は筋力が不足しているケースも多く
●つま先立ち
●ジャンプ動作
などが苦手であるケースも多くあります。
偏平足の中でも「先天性偏平足」と「後天性偏平足」ではその治療法は異なります。
ここでは先天性偏平足の足裏の偏平足症状の治し方を解説します。
まず先天性偏平足を治す際の治療方法は基本的に「保存療法」と呼ばれる治療法が治療の基本となることを把握する必要があります。
保存療法とは、基本的に外科的な手術などを行わずに治療を行う療法です。
偏平足の治療に限らず、様々な障害の治療の初期段階において保存療法は積極的に選択される治療法と言えます。
特に子供の場合は、「メス」を入れる事を極力避ける意味でも保存療法の必要性は大きいと言えるでしょう。
尚、先天性偏平足の子供の治療における保存療法では
●運動を活発に行う環境をつくる
●歩く距離を増やし下腿の筋力を強化する
●はだしで遊ばせる
などの運動を中心とした筋力強化目的の「運動療法」による治療を行います。
先天性偏平足の治療として行われる運動療法は比較的有能な治療結果が期待できます。
幼少期であれば、運動療法による治療のみで偏平足をほぼ完治させることも可能と言われております。
但しこの運動療法の効果は、治療を開始する期間によっても結果が異なります。
土踏まずは、一般的に6~7歳までに土踏まずの母体が形成され10歳~12歳までに完成されると言われております。
ですから、少しでも早い段階で治療に取り組む事で、効果が大きく変化してくるのです。
その為、近年の幼稚園では砂場や広場を「裸足で遊ばせる」事によって偏平足の予防を実践している幼稚園も多く見られます。
運動療法の基本は、とにかくたくさん遊ばせてあげることです。
本来子供は活発に動き回るものですから、「運動療法」などは必要ないものでもあります。
しかし現代の子供たちの多くは、この一般的な成長段階に見合う運動量が満たされていないのが現状でもあるのです。
もし自分のお子様に偏平足独特の症状を多く確認する場合は、一度積極的に運動を行う環境を作ってあげるようにしてみましょう。
運動療法という言葉で捉えると、少し固く感じるので「たくさん遊ぼうね」と親自身が、遊びを根本に捉える事も大切な事です。
先天性偏平足が原因である事が判明し、かつすでに成人に達している場合は、保存療法による治療によって症状の改善がみられないケースも多く見られるようになります。
このようなケースでは最終的に手術療法による治療法を検討する必要が出てくる事も覚えておく必要があるでしょう。
幼少期の偏平足症状は、運動療法によって大半のケースで大きな改善が見られます。
しかし、骨格の形成がある程度進んだ成人期となると、運動療法では改善が見られないケースが多くなります。
このようなケースの要因として考えられる症状としては
●骨格の異常
●骨格の変形
などの症状が原因となって偏平足症状が発症しているケースです。
このようなケースでは、骨格そのものの問題である事から保存療法による治療は困難となります。
その為、最終的に手術療法を検討しなくてはいけない場合も出てきます。
後天性偏平足とは、土踏まずが形成されている主に成人に達した段階で発症する偏平足障害のことです。
後天性偏平足を発症した患者の大半は
●骨折
●靱帯損傷
●後脛骨筋の疲労
●アキレス腱の疲労
●アキレス腱組織の軟弱化
などの症状が確認されます。
後天性偏平足では、発症の原因の大半が「疲労性」によるものが多い点が大きな特徴です。
疲労の度合いによっては数日でアーチの形状を失ってしまう「急性偏平足障害」をもたらす事もあり、これらも全て後天性偏平足症状と言えます。
後天性偏平足は既に骨格が形成されている段階以降の障害ですから、治療は先天性偏平足よりも困難なケースが多く長期化することも考えられます。
後天性偏平足は、前項で解説したとおり、疲労の蓄積による偏平足症状の発症が最も大きな要因です。
ですから、後天性偏平足を治す際は、
●疲労の除去
●筋力強化
などによって足裏のアーチ構造を蘇生・回復する事が最重要となります。
これは足裏のアーチ構造がつぶれてしまった状態が続く事によって様々な危険要因が生まれてくるためです。
骨格形成がある程度進んだ段階で発症する後天性偏平足が、長期的に症状が続く場合は、他の障害を併発する
●合併症の発症の可能性
が高くなるので注意が必要です。
特に、ジャンプ系の競技をしているアスリートや、陸上競技などを実践しているアスリートは、「衝撃吸収能力」が確実に低下しているので、細心の注意が必要となります。
偏平足は足裏の正常な縦アーチが何らかの原因によって失われてしまう足裏の障害です。
このアーチ構造は足関節に加わる衝撃を和らげる為の重要な役割をもっております。
その為、この衝撃を吸収・緩和する働きを持つアーチ構造がつぶれてしまっていると
●足首の関節
●膝の関節
●股関節
など主に下半身を中心とした関節に障害をもたらす可能性が出てくるのです。
そして例えば膝関節に障害を発症すると、その障害をかばう内に腰痛などを発症するケースも出てきます。
このように偏平足症状が要因となって他の障害をもたらす可能性も十分考えられる点を把握しておく事は大切です。
後天性偏平足の治療は、先天性偏平足の治療と同様に「保存療法」を主体とした治療を行うことが基本です。
後天性偏平足の治療で行われる保存療法は
●疲労の回復
●筋力の強化
●装具の利用
の3点に着目した治療を行うのが一般的です。
後天性偏平足を発症してしまっている場合は、足裏のアーチ構造がつぶれている為、
●足裏の衝撃吸収能力
が極端に低下しているのが大きな特徴です。
幼少期と比べると自分自身の体重も増加している事から、各関節へ与える負担は非常に大きくなります。
非常に多い症状のひとつとしては、「アキレス腱炎」と呼ばれる症状が多く確認されます。
このアキレス腱炎とは、かかとの骨に付着しているアキレス腱への負担が高まり、アキレス腱そのもに炎症を起こす障害です。
このようなケースでは安静を保ち、疲労の回復に努めることが最重要です。
また、足裏のアーチを持ち上げる役割をもつ
●後脛骨筋(こうけいこつきん)
と呼ばれる筋力が低下するとアーチは次第に落ちてきます。
ですから、基本的に疲労している筋肉や腱を回復させ、その後、後脛骨筋の筋力アップを計っていく事も根本的な治療となります。
この際、衝撃を和らげる為に、靴のインソールに
●衝撃吸収力の高い素材
を選択する装具の利用を検討するなどして、総合的に治療を行うことで回復を早める事も可能となります。
偏平足の治療で手術が必要となるケースは、先天性偏平足で保存療法による治療で改善が見られないケースが大半となります。
このケースに関しては成人になっても足裏のアーチ形成されないケースが稀に見られます。
これらの手術を要するケースの大半は「骨格そのものの異常」によるケースが大半です。
偏平足の整形外科手術が必要となる場合、行われる手術としては以下のような手術が行われます。
●靭帯移行手術(骨に操作を加えずに骨に付着する靭帯を移行する手術)
●アキレス腱延長手術(アキレス腱の成長が軟弱化している場合)
●関節固定手術・関節変換手術(主に足関節にロッキング症状が見られる場合)
幼児期であっても、手術を検討しなければいけないケースとしては「足関節にロッキング」が発生しているケースです。
偏平足のロッキングでは「半月板損傷」などで見られる膝関節内の軟骨が引っかかるロッキングと異なり、足関節を構成する骨格によるロッキングです。
このケースでは外科手術で関節の配置の変換をしなければ、残念ながら根本的な解決はなされません。
しかし、整形外科手術を用いられるのは全ての療法を検討・実践し改善が見られないケース。
いわゆる最終手段として考えるのが通常です。
手術を勧められた場合は、保存療法による回復の見込みがどの程度であるのか?について、念のため自身で確認し把握しておくようにしましょう。
偏平足の治療で、まず検討される治療法は保存療法です。
ここでは保存療法の中でも、運動療法に主点をおいてその実践方法を解説します。
運動療法の基本は、先天性偏平足症状を発症している幼少期の場合は遊び感覚を取り入れてあげることです。
この時期は大半が偏平足症状ですから過度に心配する必要はなく、しっかりとしたアーチ構造を形成してあげる事が保存療法の本質です。
また、骨格形成がある程度完成している後天性偏平足の場合は、以下に解説するタオルギャザーなどの「筋力強化に繋がるメニュー」を意図的に組み込む事が大切です。
【裸足で遊ぶ】
靴を履かずに裸足で歩き回る事は、足裏の微妙なバランス感覚の養成、それに伴う筋力強化につながります。
【つま先立ち・つま先立ち鬼ごっこ】
つま先立ちは、下腿を構成する筋肉の強化に繋がります。
下腿の筋肉は足裏のアーチ構造を持ち上げる役割があり適切な幼少期のトレーニングとなります。
【足指じゃんけん】
足指でじゃんけんを行う事で足の指に繋がる筋肉を強化する事が出来ます。
足の指に繋がる筋肉は足裏のアーチ構造を支える筋肉から伸びているので遊び感覚で運動療法が実践できます。
【タオルギャザー】
足の指で地面に引いたタオルを引っ張るトレーニングです。
こちらも足裏から下腿にかけての筋力の強化につながります。
ソルボは医療機器として心臓の主要部分や内臓器官などにおいて筋肉の代用を行う「人工筋肉組織」として開発された素材です。
近年はこの人工筋肉として注目を集めていたソルボ材を使用した靴の中敷も開発され販売されるようになっております。
ソルボ材の最大の効果は、優れた衝撃吸収能力にあります。
偏平足の足裏はアーチ構造が低下している為、地面からの衝撃吸収能力も低下しております。
その為、足首を構成する足関節、そして下腿の上部に衝撃が加わり膝関節にも負担がかかり最終的には股関節にも負担がかかるようになります。
僅かな負担であっても長年に渡って衝撃を受け続けるとダメージは蓄積し、オーバーユースシンドロームのように継続的負担が要因となっての関節障害を発症する危険性があるのです。
治療過程においても、やはり足関節にかかる負担は継続されている以上、インソールなどを使用した衝撃の緩和対策は長期的にも短期的にも効果は期待できます。
スポーツシューズのインソール材など様々なバリエーションの中敷が開発されているので一度チェックしてみると良いでしょう。
主な衝撃緩衝材の種類と特徴 | |
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衝撃緩衝材 | 特徴 |
アルファゲル | たまごを落としても割れないというCMが一時話題となった衝撃緩衝材 |
ソルボインソール | 医療現場で使用されていた人工筋肉の素材。弾力性、衝撃急性に優れた素材を活かしたインソールが多く開発されている |
ソルボ材インソールの市場価格は、用途にもよりますが、1000円~1500円程度です。
一般のインソールと比較するとやや高額ではありますが、その価格に見合った能力を期待することができるでしょう。
スポーツシューズの中敷と使用する場合は、若干へたりが早くなるので、3ヶ月程度で交換が必要となるケースもあります。
スポーツ競技としては、衝撃が大きく発生するジャンプ系の競技種目を行っている方の場合は、偏平足でなくても衝撃緩衝材入りのインソールを検討したいものです。
偏平足は土踏まずが潰れてしまう足裏の障害です。
では、一般的に正常と言われる土踏まずとはいったいどの程度のアーチ構造を保っているものなのでしょうか?
ここでは正常な土踏まずの判別方法の目安についてご説明します。
正常な土踏まずのアーチは成人の場合は一般的に
●足裏にえんぴつが1本入る高さ
が理想的な土踏まずのアーチの高さと言われております。
えんぴつを地面において足裏の土踏まず部分で踏み、ぴたっとくるようであれば偏平足の心配はほぼいりません。
逆に、足裏にえんぴつが強くあたり痛みを感じるような場合はアーチが不足している偏平足症状の可能性があると判断できます。
尚、足裏がスカスカで、まったくえんぴつに触れないようであれば、「ハイアーチ」という、土踏まずが高すぎる障害の可能性も考えられます。
これらは、あくまで偏平足かどうかの簡単なチェック方法のひとつであり当然個人差がある点をしっかり認識しておいて下さい。
最も確実な診断方法はやはり医師の診断を受ける事です。