股関節の柔軟性を高めるストレッチの必要性

股関節を柔らかくし関節可動域を広げるストレッチ方法、股関節を鍛える強化トレーニング方法を解説。

◆股関節の柔軟性を高めるストレッチについて

股関節のストレッチを行う前に、まずストレッチを行う目的について考えてみる。

一般的に我々が柔軟体操やストレッチを行う場合は、
●ストレッチにはどのような効果があるのか?
●どのような目的で行うのか?
という点についてまでは深く考えずに行っているのではないだろうか。

☆ストレッチはしておいた方が良い
☆スポーツ選手がストレッチをするのは当たり前
☆練習前・練習後にストレッチを行うのは日々の練習のルーティンワークのひとつ
☆柔軟性が高まると怪我をしにくくなるからしておく

これらは、何となく聞いたことがある知識や、経験による思い込みから想定されるもの。

シンプルにこのようなイメージからストレッチを行なっているケースが大半かと思う。

これは決して悪いことではない。しかし、今回はもう一歩踏み込んで柔軟性を高める目的について考えてみよう。

◆股関節の柔軟性を高める目的

股関節の柔軟性を高める目的はいったい何だろうか?

まずざっと思いつくものを幾つか挙げてみよう。

【股関節の柔軟性を高める目的】
①変形性股関節症などの障害によるリハビリ過程
②スポーツアスリートなどの関節可動域の向上・維持・及び訓練
③股関節近辺の筋力組織の強化

シンプルではあるが、股関節の柔軟性を高める目的を考えると以上のようなケースが考えられる。

◆リハビリ課程のストレッチング

①のリハビリ課程がまっ先にイメージされた方は理学療法士などの仕事が向いているかもしれない。

股関節の病気は特に高齢者の女性に多く、手術後のリハビリでは関節の可動域と股関節周りの筋力や腱組織の働きを少しずつ戻していくリハビリが実践される。

このリハビリではストレッチ系の運動が実際に多く組み込まれている。

◆柔軟性は加齢と共に低下する

②の股関節の可動範囲の向上や維持に関しては、特にスポーツアスリートにとっては直接、実践競技中のパフォーマンスに影響を与えるため重要な要素だ。

このイメージが直ぐに浮かんだ方はおそらく現在、スポーツを実践中のアスリートである可能性が高い。

関節の可動範囲の維持という言葉はどうも後ろ向きに見える言葉と感じた方もいるかもしれないが、人は加齢と共に柔軟性が徐々に低下する傾向にある。

社会人になり数年ぶりに剣道を再開した場合に、アキレス腱を断裂してしまったり、バスケットボールやバレーボールなどを久しぶりに行うと肉離れ症状を発症してしまったりするのも、この柔軟性の低下が大きな原因を占めている。

元メジャーリーガーのイチロー選手は、試合の日は毎日誰よりも早く球場入りし、入念過ぎるほどにストレッチングを行っていたが、力みもなく過剰に感じられるようなストレッチングを行うようなことは一切ない。

「50代でも現役だったらかっこいいですね。」とイチロー選手がかつて言っていたように、長期的な視野で現在の能力・パフォーマンスをしっかり発揮できるように柔軟体操を入念に行い状態キープ(すなわち維持を示す)をしているのだと思う。

こうして見ると維持という言葉も決して後ろ向きではない。

◆股関節に連動する筋組織・腱組織の強化

③の股関節周りの筋力強化に関しては、②と連動する部分があるが、正常な可動範囲を確保することで股関節の動きに関与する筋肉や骨の付着部位にあたる腱、更に靭帯にまでストレッチングを行いながら刺激を加え、活動できる状態へと仕上げていく事を示す。

またストレッチングをしっかり行うと筋肉痛が発生することがあるように、筋肉を伸展させていくとダメージを受ける筋細胞もあり、ストレッチングそのものが筋トレに近い効果を発揮するケースも実際に存在する。

◆ストレッチングの効果

ストレッチングを行った際に認められる効果には以下のような効果が挙げられる。

【ストレッチングによって得られる代表的な効果】
☆本来の関節可動域の回復
☆股関節近位の筋肉の緊張・緩和効果
☆血行の促進
☆神経組織の向上

これらの効果を把握した上で、上述した自分自身の目的を再度確認し柔軟性を高めるトレーニングを取り組んでいくと、目的も明確となりより効果も高まるだろう。

ストレッチのポイントはまず何よりも「ストレッチを行う目的」を明確に持つ事。

そして、そのストレッチがどのような効果をもたらす可能性があるのか?という点について把握しておくことが重要である。

残念ながらスポーツトレーナーなどの職についている方であっても、ストレッチングの目的や効果をしっかり把握できている人は少ないように思う。

嫌、知識は保有しているが、表面だけで掘り下げていけないトレーナーが多いと言った方が良いだろうか?

トップアスリートはおそらく巷のトレーナー以上の向上心で人体について深く熟知している。

2020年にメジャーリーグで日本人初となる最多勝利を獲得し、サイ・ヤング賞投票でも2位の成績を残したダルビッシュ投手は、メジャーへ行く際に「栄養学について更に勉強を重ねたい」と発言していた。

一流選手ほど更なる知識の習得、学習に貪欲であり人体に詳しい傾向は昔も今も変わらない。

特に前項でも解説した通り股関節は複雑な構造で構成されている関節である。

動きや腱の連動のメカニズムを学習する事で、新たに見えてくるものもある為、私自身も日々学習を続けたいと思う。