股関節の関節可動域

股関節を柔らかくし関節可動域を広げるストレッチ方法、股関節を鍛える強化トレーニング方法を解説。

◆股関節の関節可動域について

ひと昔前に比べると人気が急増してきたフィギュアスケートやバレエ、そして新体操競技。

これらの競技を実践しているアスリートの柔軟性は桁違いと感じるほどに柔軟性が優れている。

そしてフィギュアやバレエなどの柔軟性の高いアスリートが多いスポーツ競技を実践している方の股関節の可動範囲はほぼ例外なく広い可動域を持つ。

しかし、この股関節の可動域に関しては、どれだけトレーニングを積んでも一定のライン以上に可動域が広がる事はありえない。

柔軟性の高いアスリートは、関節そのものの構造自体が変化している訳ではなく、関節を構成する他の組織の性質が鍛えられた事によって可動域が広がっている為である。

◆それでも関節の可動範囲内?

中国雑技団などの演技を見ると、本当にあり得ない方向に体が曲がっていたりすることを目にされた事がある方も多いのではないだろうか?

「そんな方向に関節が曲ってしまってはいかんやろ!」

と思わず言ってしまいたくなるような角度に曲がっているケースがそうである。

しかし、このようなケースであっても関節構造はやはり変化しない為、関節の可動範囲内での演技であることは間違いない。

この「ありえない!」と多くの人が同様に感じるラインが近いのは関節の制限だけなく防衛反応の仕組みが関与している。

◆関節の可動域を左右する防衛反応

一般的に人体の関節は、防衛反応として本来の関節の可動範囲の半分にも満たない範囲の可動域に達した時点で制限が働くようにできているのをご存知だろうか?

これは関節に限らず、筋肉の筋出力に関しても同様である。

人体の筋肉は筋力を出力しようとする際に、自分が保持している100%の筋力を発揮することはまずできない。

この原因は筋細胞の過剰な破壊や関節への過度の負担を防止する為に、防衛反応が事前に働きかけてしまうことが原因である。

◆自動車のリミッターと同じ?

これは自動車で言えばリミッターに相当する機能と言える。

実際には300キロ以上のスピードを出すことが可能であるスポーツカーであっても、実際に300キロ以上のスピードを出そうとするとリミッターが働き公道でそのスピードを体感することは出来ない。

もしエンジンがブローし、車が壊れても良いのであればリミッターを外し300キロを超えるスピードを出す事が可能な能力を備えた自動車は幾つも実在する。

当然、覚悟があったとしても安全面からこのような事は認められるはずも無い訳だが、人体の筋肉組織や関節もこのようなリミッター組織が働いていると考えると解りやすい。

実際はこの防衛反応が適切に働いてくれるおかげで、大きな怪我をする事もなく運動や日常生活が行えているという点は覚えておいて損はない。

尚、柔軟性が非常に高いスポーツアスリートは、この制限がかかるリミッターラインをストレッチなどのトレーニングを継続する事で増幅している。

「ここはもう危険なラインだよ!」と伝達する神経の信号を「まだ大丈夫だよ!」という信号へ切り替えていく作業がこれにあたる。

一定の柔軟性を兼ね備えたトップアスリートが取り組む日々のストレッチングに関しては防衛反応との戦いと捉えても間違いではないだろう。